原子気体のBEC生成の嚆矢

Hecht, The possible superfluid behaviour of hydrogen atom gases and liquids, Physica 25, 1159 (1959) は「スピン偏極した(↑スピンだけ集めた)水素原子気体は低温でも液化せず超流動っぽくなるんじゃない(=BECになるんじゃない)?」と最初に言って,原子気体のBEC実現レースに火を点けた論文(まぁその直後にどうとかって訳じゃないんだが).
ところがHでやってみるとこれが実は難しくて,先を越したのはいずれも素性のよいアルカリ原子(特にNaとかRb, Li)を使ったチームだった.最初は考慮されてなかった三体衝突*1によるロスがアルカリ原子に比べ酷かったのだ.
... というサイドストーリーから先に知ったのだが,実際に読んでみると,あまりためになる話ではなかった.

*1:3つのうち2つが分子になって,結合エネルギーをガッと3つ目に押し付ける.すると3つ全部がトラップできない状態になってしまう.