2原子分子の電子状態

id:flappphys:20070105#p2 で分からなかった a {}^3\Sigma_u^+ とかの記号だが,居室にあった 量子力学II,岩波講座 現代の物理学 ('72年)を参照したら一般形は {}^{2S+1}\Lambda_{g/u}^{(+/-)} だと分かった.Λは電子の軌道角運動量の和の軸への射影で0, ±1, ±2, ... に従ってΣ,Π,Δ,... と書く.2S+1はそれらがsingletか,tripletか,... を示す.g/uはgerade/ungeradeの区別,すなわち2原子の中心についての反転のパリティを表す印.(+/-) は,Λ=0 (Σ)の場合だけ,2原子を通る軸を含む平面での鏡映のパリティが効いてくるので,それを表す印(Λ>0すなわちΠ,Δ,... では書かないので括弧を付けてみた).
しかし a だの X だのが分からん.実際に理解したい標的はこういうのなんだが... (Jones, Tiesinga, Lett, and Paul S. Julienne, Ultracold photoassociation spectroscopy: Long-range molecules and atomic scattering, RMP 78, 483 (2006) ) 電子状態ごとにポテンシャルの形が違って,それが散乱長を決定するらしいのよね.

はぁ,思えば素励起の分散関係とかの扱いに付いていけなくて逃げるように原子物理を選んだのだが,こっちはこっちで電子状態の扱いやらスペクトルの読解がめんどいのだった.
追記: Pilar, Elementary Quantum Chemistry, McGraw-Hill, 2nd ed. に書いてあった.Xは基底状態の印,A, B, ... は基底状態と同じ多重項のうちでエネルギーが低い順,a, b, ... は異なる多重項のうちでエネルギーが低い順に付ける印らしい.こーいうのってどこの世界の「常識」なんだ? 化学の本でも,何冊も見てやっと探し当てた記述なんだが... んでアルファベットでなく数が前置されてるのは,ランダウに説明があったのは見つけたが,まだ理解してない(簡素過ぎる記述で初見では意味が取れなかった).