卒研発表は今日が最後

今日こそ遅刻せずに行くぜ...!!!
と意気込んだ私だったが,遅刻は(発表1人分しか)しなかったものの,今日はセミナー室で寝てばかりいたので聞いてた発表の数はあまり昨日と変わらなかった.これはもう,だめかもわからんね(学生として
しかし聴衆にはレジュメはおろか演目一覧すら配られなかったんだが,教務はやる気あるのか? セッションの休み時間ごとにセミナー室のドアに張ってあった演目一覧を見に行ってたんだが... (つまり,存在はしている.掲示板にも貼ってあったし.コピーするかしないかだけ)
為ヶ井研の1人目は聞き逃した.

為ヶ井研その2

「Bi_{1-x}SrxMnO3の秩序相」BiをLaで置換してみたり,電荷秩序相があったり,単結晶と多結晶を比べたり,相転移があったり,まぁ「色々やってみました」みたいな感じ.メモには単語をごちゃごちゃ書いたんだが,まぁ書き写すこともあるまい.一応,わざわざ組成式を書いてみた.

為ヶ井研その3

「遍歴弱強磁性体の局所的磁場測定」遍歴電子が強磁性を担うような物質で,不純物由来でないことを検証するために,小さなHall素子を作って計測した.SQUIDによるマクロなデータと食い違ってて,それは磁区のせいだろうってんで,磁気光学効果を使って磁区の写真を撮れるかと思ったら「だめでした」で,うーん...

為ヶ井研その4

超伝導の異方性」擬一次元の結晶らしい.眠くてよく覚えてないがメモには「ま た 希 土 類 か」「アーク放電で多結晶体」「Floating zone法で単結晶」「Charge Density Wave転移」「アニーリングいいよアニーリング」とある.うーん一般名詞ばかりで(ぇ)やっぱり思い出せない...

市川研その1

「量子ドットで遷移則をいじる」量子ドットと言えばこの類だよね.前にも触れたが (id:flappphys:20051222#p3) Siが直接遷移型になってくれれば言うことないので,小さな点にすることで電子の波動関数に制限を加えるのだ.扱ったのはβ-FeSi2という物質で,エピタキシャル成長の歪みが直接遷移化に有利に作用するのがいいとか?
妙な新規性を強調するためにマイナーな系を掴まされるよりは実習経験がずっと有益だから,これはよいと思った.

市川研その2

すまんやっぱり眠くなってメモを忘れた(ぉぃ).せめて演目一覧があればタイトルから記憶を復元できるのに...
STMでSi-Ge半導体からGeを引っこ抜くとか何とか.市川先生はSTMが得意らしいが,STMってのは単なる「顕微鏡」でなく,色々操作ができる装置なんだよね.

ここで昼休みに入る.どこにも行かずにずっと寝てた(笑).

染谷研その1,その2

寝てたんで発表があったことすら気付かなかった(ぉぉぃ
まぁ別にいいんだけど,リッチっぷりを楽しみたかったってのはあるな...

鹿野田研その1

どれが何人目だかよく分からないんだが,寝てたのは多分これだろう.

鹿野田研その2

「Phz-H2caの強誘電性」核四重極共鳴法で温度変化に伴うスペクトルの分裂を発見.どうも強誘電性は格子の変位由来ではないかもしれない,とか? すごいのかも知れないが,うーん,よく分からなかった.「ソフトモードがないじゃん(LSTに矛盾?)」というツッコミが入ってた.新奇なのか単に間違ってるのか?
最後「もっと質問やコメントいただけませんか? がんばって準備してきたんで...」いやぁ,こういうのっていいですねーーー

鹿野田研その3

「磁場誘起超伝導」磁場をかけても破れない(と言うか局所磁場とバランスする?)超伝導ってのがあるらしく,その一例.共鳴周波数が上にシフトするのを捉えてやればよいそうだが? どうもこの辺,結果が出たんだかだめだったんだかよく分からなかった.時間の制約で,うまく行った方法を追求し切れなかったのか?

鹿野田研その4

層構造があり,また電荷配置にフラストレーションがあるような系で,強電場パルスと同期したNMR測定を行った(ここが新規性).その結果から,高圧でつぶしたら等方的になったことが分かったそうな.
この人もけっこう「語って」いたなぁ(その内容が本当に正しいかどうかはともかく).やはり鹿野田先生の熱が伝導したのか?

五神研その1

「Li原子のトラップ」光の定在波による周期ポテンシャルに冷却した原子を放り込む.トラップを切った後にパチパチ撮った写真から拡散具合を調べ,速度分布と原子の総数を算出したそうな.トラップの最適化に向けた研究らしい.
「用いますことによって」というフレーズが記憶に残っている.そう,私も決して緊張に強くないから,緊張する余地がないようにしておきたいものだな.「今日レポート出てたよ」「えーまじでー」みたいな自然な会話,自然な情報伝達を目指したい.

五神研その2

「CW-励起子Lyman分光法」エキシトンBECは面白そうな現象なんだけど,難点は「実現してないこと」(ぉぃ).実現を阻むAuger衝突の割合をきっちり知るために敏感な分光法を開発したいらしい.ポンプ光を当てた後にプローブ光を入れたときのみ1s-2p遷移に伴う吸収が起きるので,ポンプ光on/offそれぞれの場合のプローブ光の透過強度を比較した.
気付いたこと: PPTスライドのヘッダが漢字の「五」の下の辺を延長した図案だった(笑

五神研その3

今度はPPTスライドのヘッダは右回りと左回りの「卍」だった.あれ,さっきのシャレっけのあるのと違うじゃん... と少しがっかりしたんだが,さにあらず.
「カイラル金属薄膜の強い光学活性」金属薄膜にナノ加工で穴を開けてやると光が1割も透過するらしい.どうも表面プラズモンのせいだとか? そこで穴をカイラルな(右回りと左回りの区別があるような)形にしてやったら金属薄膜で偏光を回転させられそうじゃないか.そこで「卍」の穴を開けたらしい... ってヘッダはこれか(笑
結果は,見事に数百倍の光学活性が出たようだ.さらに(薄膜は基板上に作ったんだが)入射を裏からやるか表からやるか,s偏光とp偏光,偏光と「卍」との角度,入射角... と膨大なデータを取っていたようだ.3次元プロットしたら表面プラズモンの分散関係がその中に見えていたとか.
私に理解できるのはほんの一部だったが,全発表の中で一番感心した.

五神研その4

「微小球選別のための空中光ピンセット」 WGMという共鳴現象を見ると10μmくらいの微小プラ球の直径が高精度で分かり,卵のM玉だけ選ぶみたいに選別できるんだが,そのために空中で光ピンセットを実現してトラップする研究.空中で光ピンセットを実現した前例は少ないらしい.水中ではWGMのピークが立たないが,しかし球を台に置くとvan der Waals力で張り付いてしまう.「そこで私はひらめいた」(←笑)超音波洗浄器のピエゾで揺さぶってやったら見事に張り付かなくなり,光ピンセットで動かせるようになった.
結果をきちんと出したこともさることながら語り口が面白かった.会場の笑いを誘った発表は他になかったように思う.五神研はそういうのが好きなのかな.よいことだ.

香取研その1

「磁気トラップ」U字型導線による磁場四極子を振ってやることで原子をきっちりトラップする.Starkアトムチップとやらに原子を運びたいらしい.
電流が10Aってとこに「発熱やばくない?」ってツッコミが入ってた.確かにやばいんだがパルスだから何とか平気だとか?

香取研その2

「Sr/Yb原子時計コンビを作るためのトラップ技術」香取研は精密測定に命をかけてるので低温原子のトラップに必死なのだ.単独だと校正できないんで異なる原子種の時計コンビを使いたいんだが,外場の差をなるべく除くために同一チェンバー内に置きたい.そのための第一歩として磁場でSr, Yb両原子をチェンバーまで持っていく技術を研究したとか.
正直このチームが何をやったのかよく覚えてないんだが(ぉぃ),のけぞった話は... 「ギガ年単位で見ると微細構造定数が変化してるという報告もある(クェーサーの観測に基づく)」ので,それより高い精度の時計を目指してるのだとか.