とうとう購入

買ってしまった... 「萌え系CPU本」.

いや,しかしこれはかなりの名著である*1
PICやH8の本も多いが,結局それらは各CPU固有のasm言語の説明をして「シリアルポートから(専用開発環境でコンパイル/アセンブルした)実行可能バイナリを(専用ソフトで)転送」「I/OをLED,モーターや温度計につなぐ」しか書いてないっぽい.「工作」として楽しそうではあるが,私の望む「内部構造の理解」には向いてないようだ.またHDLの本になると研究機関等の専門設備を利用する読者が対象で,具体的なデヴァイスの運用方法は「各読者の環境のマニュアルを参照してほしい」となっており,せっかく最近現実味を帯びてきた「小遣いで買えるFPGA」の話は端から載ってない*2.「HDL入門」だけなら文法だけちょちょっとwebで調べてフリーソフトウェアのシミュレータで遊べばいいや,となる.
この「CPUの創りかた」は駄菓子並みに安価な汎用ロジックICの具体的な構成と入手方法や,コンデンサの特性を始めとする「回路」の話まで載っている.内部を覗くのも一苦労のノートPCで育った現代っ子の私にぴったりだ.読者がROMライタ等の特殊な装置を持っていないことを想定し,スイッチを並べてROMを作る(!)ところに特徴が出ている.テスターの話にも力が入っている.電気技術者の正統的な教育を受ければきっと身に付くことなのだろうけど,経験の代替を本から得るしかない私にとっては貴重だ.そんなこんなで非常に心強く,慣れない電気屋の店頭を覗きに行く気にもなろうというものだ.
本格的なCPUを学ぶ上で古典的スタンダードであるパタヘネは2年も前から持っていて,かつ上巻までしか読み進んでいないんだが,やはり少々方向性が違う(パタヘネは一般論について網羅的なので被っている内容も多いけど).

もちろんPICやH8も「電子工作」により具体的な制御やDSPを体感するには*3すばらしい道具だとは思うので,情報の収集に努めたい.それと,その辺りに慣れて来れば「小遣いFPGA」の扱いも分かってくるだろうから,シミュレータでの演習と合わせてさらに高度なCPUの実装に進むことも考えられる.

電磁気! 量子力学統計力学複素解析微分方程式微分幾何! 物性!

*1:良くも悪くも「萌え」は飾りだけで,中身は真面目な技術書だ.語り口を軽くするために密度を下げてあるが,まぁ販売戦略上仕方あるまい.

*2:安価かつそこそこの規模のものが市販されるようになったのはほんの最近で,まだ市民権を得てないようだから仕方ないが

*3:H8で「鉄棒の磁気浮上」を実現した本もあった.