関数と定数

今さらだが,数学において関数と定数を自在に読み替える能力がとても大事だと思う.
例えば導関数を定義するにはまず各点で(すなわちxを固定して)\lim_{h\to0} (y(x+h)-y(x))/hを求め,得た値が今度はxの関数であると考える.合成関数の微分法だと「関数であって数ではないyの微少変化で割り算するって何よ?」ということにもなるし,今回この話を書くきっかけになった変分法でも「xの関数yとy'\equiv dy/dxとについてTaylor展開」等が出てくる.

最近では「代数と幾何」で双対空間や線型写像の引き戻し等を考えるときにも同じような形が出てきた.

この辺りの感覚が自然に身に付いてる人というのは数学をきちんと勉強した人なんだろうな.当人はそうと意識しないのかもしれないが,私はこの辺で混乱することが多いので,今,明確に述べてみようと思った次第.
「各点x」... あなどれない表現だ.見つけたら注意信号を発することにしている.
「領域内のいかなる点においても操作○○が可能であり,お望みとあらば実行して結果を(実数などの形で)得ることができる ---その領域に含まれる点が無限個で,そのせいで操作○○が無限回必要であろうとも」という言い方ができる場合も多いが,それだとどうだろう.少々ロマンチックな響きになりはしないか*1
ま,こうして何らかのキーワードによって様々な本の別々の場所に載っている命題をリンクさせるのは今後のために有益だと思ってるから,大したことないと思われる点についても意図的に強調しているのだ.

*1:微積分法の基本定理」もこうして見つめ直すと面白い.自然と (Riemann) 積分の(ややこしい)定義に立ち戻り,さらに測度論やらに思いを馳せるきっかけにもなる.