Fourier展開
Taylor展開は,最初に出会う関数のクラスである有限次の多項式関数に対して(有限ステップで)元の関数自身を与えるので非常にとっつき易い.その他の関数についても「有限次の多項式関数で近似できるとしたら,その係数はこれこれになる」というイメージが通用するのでやはり脳に優しい.もちろん厳密に捉えるには剰余項が0に収束することを理解しなければならないが...
それに対してFourier展開はそうはいかない.有限ステップで元の関数が得られるような対象は,わざとらしく作ったもの以外はほとんどない.普通は適用したいのは矩形波だったりノコギリ波だったりする.そうしたものにFourier展開を行って得られた三角関数の線形結合が本当に「元の関数に近付く」のかは自明ではない.有名なところではGibbs現象のような奇妙な振舞いが観察できたりする*1.
一般のFourier級数の収束性についてはえらく難しくなるようだが,今日ははCesaro*2の総和法とWeierstrassの近似定理について 猪狩惺,フーリエ級数,岩波全書 を教科書に勉強してみた.まず元の問の答えとしては「区間上の連続関数fと正数εに対し,あるをうまく選ぶと,においてはfに一様収束する」という定理がその答えになるだろう.ポイントはが有限和であることだ.実はそれにはFejer*3核と呼ばれる関数とfとの畳み込み(「fのCesaro和」と呼ばれる)を採用すればよい.Fejer核とはの形をしたNをパラメータとする関数系で,とFourier展開できる.なおfのCesaro和は最初に思い付くFourier級数の部分和*4とは微妙に異なり,Fourier級数に出てくる等の代わりに等を係数とした三角多項式である.Weierstrassの近似定理,すなわち「fを有界閉区間I上の連続関数とするとき,ある多項式Pを選ぶと,IでPはfに一様収束する」はfのCesaro和を経由する三角不等式で示せる.
... とここまで書いた時点で理解せずに飛ばした点がすでに大量にあるんだけど,Fourier変換の他にLaplace変換も勉強しないといけないのでなかなか大変だ...