リセット

慣習的にリセット入力に負論理(電圧Lowが真値に対応)が多い理由は,バイポーラ・トランジスタを組み合わせて作った昔のロジックIC *1では,Lowと認識される範囲がHighと認識させる範囲よりずっと狭く(0.8 V以下 vs. 2.0 V以上),「Lowなのにノイズにより誤ってHighだと認識してしまう」ことよりも「HighなのにLowと認識してしまう」ことの方が可能性が低かったから,Lowを特殊な場合に選んだ方が安全だったという話がある.

「送り出すものには厳格に,受け取るものには寛容に」というのはTCP/IP周りで生まれた格言だったと思うが,ロジックICでも似たようなもので,いずれも入力閾値より出力閾値の方が厳しい仕様になっていることが分かる.
さて "reset ttl active low" でググって引っかかったメーリングリストではいわゆるパワー・オン・リセットについて言及されていた.なるほど,電源オン直後,電気が回路の隅々まで回りきるまでの間は妙な誤動作をしないように「リセット」がかかっているべきだが,負論理ならRCフィルタでリセットピンの電圧上昇を遅らせてやればちょうどリセットがかかったままになる.

*1:TTL (Transistor-Transistor Logic) IC.