量子誤り訂正

量子誤り訂正に関してちょっと資料を探してみた.

あと他にNielsen and Chuang,グルースカ本とか 古澤研 の卒論とか.いずれもまともに読んではいないけど.
先鞭をつけたShorの "9-qubit" 符号は,要は単なる繰り返しによる冗長性の付加に過ぎず*1,あまり面白みがない.使う人が使うときに一夜漬けで覚えれば十分じゃない? 程度だ.もちろんその後いくつかの発展が続いたが,現行の計算機で使うために代数学を基に発展したいわゆる「符号理論」に比べると,デバイスの未成熟さを反映してまだまだ浅い.込み入った議論をする人もいるようだが,どうせなら実験的なqubitの安定化方法の一つでも考えてくれればよいのに.デバイスの発展方向いかんによってそれ以前の方式がすっかり廃れてしまう... というのはありがちだよね?
ただ,他にEPR相関に基づいた「真に量子的な(?)」量子誤り訂正もある.これは量子テレポーテーション*2や "superdense coding*3" と共に,いわゆる "entanglement-assisted channel" に関して研究されている技術らしい.こちらには非常に興味を惹かれる.

*1:何がミソかと言うと,いわゆるシンドロームを求めようとしていずれかのqubitを普通に「観測」してしまうと,波動関数の収縮でその後の「多数決」が意味をなさなくなってしまうため,ユニタリ変換(量子ゲート)を通した上で必要最低限の「観測」だけをして「多数決」を行う工夫がしてある.

*2:相手に1 qubitを送りたいとき,予め送り先と共有しておいたEPRペアを消費する代わりに,送るものは古典的情報2 bitだけでOKになる.

*3:相手に古典的情報を送りたいとき,予め送り先と共有しておいたEPRペアを消費する代わりに,1 qubitを送ることで古典的情報が2 bit送れる.