卒研ネタ発表

これ,書いてる日と書いてない日があるな.一応,毎回あれこれ書き留めているんだけど,ここに書くには至らないというのが真相.あまり気張らずに行かないと... どうせたかが知れてるんだし(笑

FRET (FluoRescence Energy Transfer) 法による酵素の構造変化の分析(富重研)

富重研は生物物理の研究室.かなり毛色が違う.
レーザーを吸収する発電役(?)の分子と,そこからエネルギーを吸収して発光する分子のペアを酵素の別々の場所に貼り付けておく.ペアが近づくときちんと発光するが,分子構造が変化して遠ざかるとエネルギーが届かず発光しない.これで(既に構造変化のパターンがある程度知られている酵素については)発光の観察で構造変化が分かるというカラクリ.
何しろ複雑の極みの生体分子なのだが,今回扱ったのは酵素酵素でも,タンパクでなく塩基数ほんの数百のRNAでできた小さい酵素(リボザイム)で,それがまだしも救いだったようだ(あぁ大きな酵素への適用に関して質問すればよかった).それでも,五月祭で一緒だった富重研メンバーのYくんに小声で細かい話を聞かせてもらったんだが,やはり思惑通り/予想通りに行かない面が多いらしい.
春の卒研発表会ではやはり発光する量子ドットを(後述のキネシンに)貼り付ける研究の話を聞いたが,それは分子全体の動きを見るもので,内部構造の変化を調べるFRET法とは相補的な関係であり,いずれ両者を組み合わせたいとのこと.

後ろに引っ張って分かったキネシン歩行のメカニズム (富重研)

とりあえず情景を想像すると笑える.富重研のメインテーマである二本足で歩くタンパク質キネシンはそれだけでもユーモラスな存在なのに,それに微小ビーズ玉を背負わせ,そのビーズをレーザーピンセットで後ろ向きに引っ張り,この自然ではありえない状況を使って歩くメカニズムがどうなっているのか調べたというもの.
詳細は省くが,「歩みの力はいかほど?(7 pN)」「どうして右足を前に出した後,後ろにある左足を動かそうとするのか(確率的な挙動だった)」「足を踏み出す途中はどんな動きをするのか」などが(ある程度)分かったそうな.でもまだ「歩く」メカニズムには謎が残っているらしい.
昨年の実験パートナーだったNくんが演者.データ量の多いプレゼンだったが,各々の解釈をきちんとしてくれたのでけっこう信頼が置けるトークだった.見習いたい.

ところで

(ぴー)研では卒研生に消滅演算子が1回適用されていたというのは本当だったようだ.今週分の要旨が教務課から届くのが遅れたのもそのせいか... 登校拒否になるような研究室とは思えないが(楽しそうなところだ)どうしちゃったのかねぇ.本郷の空気を1年長く吸うってのは魅力的なプランとは思うが,周囲に迷惑をかけてはいけませんな.