原子6つで猫状態

割とセンセーショナルな(そして人類の現時点での限界を明らかにしてくれる)ネタを一つ.NIST*1のグループが6個のBeイオンでいわゆる「猫状態」 1/√2 ( |↑↑↑↑↑↑> + exp(iθ)|↓↓↓↓↓↓> ) を実現したという話.昨年末のこと.

猫状態はいわゆる量子エンタングルメント(絡み合い)の代表格.でも名前の由来である,いわゆる「シュレディンガーの猫」そのものを直接に実現するには,6個でなく1 mol程度,言い換えれば1兆の1兆倍の個数の原子を操らないといけない.しかもこの実験では,生成した猫状態はせいぜい50 μsしか持続しなかったとか.てか,数と時間だけ増やしてもBeイオンガスじゃ生きた猫は作れないしな(笑
理解してないこと: 数式ではユニタリ変換としてちょろっと書かれる操作が,現実の実験系ではどういう電磁場の印加によって実現されるのか? それはこれまで習ってきた角運動量とか超微細構造とかFermiの黄金律でどのように定量的に説明されるのか?

*1:「産業の基礎固め」と称して物理,バイオや情報技術の基礎研究を大々的に進めている研究組織.Wikipedia:"アメリカ国立標準技術研究所"