卒論発表会

今日は工学部物理工学科の卒論発表会の1日目だった.1時間半ほど遅刻してしまって数人分見逃したが,まぁ別にいいや.
以下,粗粗粗筋.「ながら」聴きで私の頭に入った部分だけを記した.ここで「調べた」と一言書いてあるところに,ご本人は1か月かけたりしている,そんなこともきっとあるだろう.これで物工のレベルを計らないでね(私のレベルならいいけど).
雨宮研2名,宮野研2名を聞き逃した.

百生研

例の「Talbot干渉を利用した位相差に基づく高感度X線CT」.Spring-8の放射光X線を使って金魚とかを撮ってた(笑).それに適した回折格子エッチングで作るとこから始めたので大変そうだ.強度分布を見る従来のX線CTと比べて「要するに何が進歩なのか」について先生方から質問が出たというのは,やはりその論点が少しぼやけていたことの証拠だろうな.「炭素等の軽い元素でもはっきりコントラストが出るので造影剤が要らず,またその分だけ被曝量を押さえられる」そうな.

十倉研その1

光学的電気磁気効果強誘電体であり,かつ常磁性体でもあるような物質(希土類を混ぜた怪しい結晶)では,外磁場が電気分極を,外電場が磁化を生むことがある.それについてあれこれ調べた.似たような結果を与える凡庸な現象と区別したり,一応 結果が理論式の予言と(零 or 非零 程度は)一致することを確かめた.今回 得たスペクトルがとても強いのが新規性らしい.
舌がつっかえる速度でしゃべるのはどうかと思った.内容を削ってくれる指導者は十倉研にはいないのか?

十倉研その2

「強相関物質へのキャリアドープ」異質なイオンをドープするとしだいに長距離秩序が失われていく.今回はストライプ型構造の擬2次元な物質を扱った(ここが新規性).(放射光)X線散乱やそれを元に描いた相図と抵抗率とを比べると内部秩序が見えてくる.異方性のある物質を扱ったのも新規性があるらしい.相図がけっこう分かりやすかった.

十倉研その3

「電子の軌道秩序の外磁場依存性」電荷,軌道,スピンの3つの秩序が今(十倉研方面で)アツいらしい.ペロブスカイトの金属転移によって軌道秩序が消失するが,転移点近傍の振る舞いはまだ謎が多いし,スイッチング素子に使えそうだ.相図の境界が曲がったこと(リエントラント),M-Hグラフの履歴などからその現象が確かめられた.
「...に示しましたように」というフレーズが記憶に残っている.それにしても十倉研は早口の特訓でもしていたのだろうか.

十倉研その4

幾何学的フラストレーション」スピンアイスやスピンカイラリティなどが含まれるが,これが電気伝導に影響すれば異常Hall効果につながるし,また電子相関と合わさると単純なバンド理論で予言できない振る舞い(強磁性体-スピングラス転移やリエントラント転移)につながる.今回はEu, Gd等の怪しい元素の関わる結晶でLa, Y等と取り替えつつフラストレーションの及ぼす効果を調べた.

尾鍋研その1

MBEをうまいこと操り,GaNの層を,自発分極の向きが層ごとに交互に反転するように積み重ねていった.ここでFIB法でテンプレートをエッチングしたのがポイント(これで向きが決まる).この交互に積み重なった結晶はフォトニック結晶になったりと非線形光学等で重宝するらしい.実際にできたかどうかを,RHEED, SEM, Raman散乱,AFM,アルカリエッチングといった様々な側面から検証した.

尾鍋研その2

そろそろ疲れてたのと,留学生の方で日本語が聞き取れなかったのでパス.

富重研

ここは生物物理で「モータータンパクの歩行」.キネシンという「歩く」タンパク分子の動きを,時間/空間分解能両方を高めて見るために,量子ドットを胴体にくっつけて光らせて観察した.量子ドットは小さいのでジャマにならなかったようだ.キネシンの移動の様子から,実際に微小管に沿って「まっすぐ歩いて」いるらしいことが確認できた.
ノイズ排除の解析とかの話にちょっと時間を割きすぎだった気が... まぁ二人で「原理」「結果」と分けたからバランスが悪くなったのかな? それにしても最後だからって先生方がわーっと質問してたのがおかしかった.