今日の学校

今日は先端光科学実験実習Iの実習を受けてきた*1

光メモリー光源用2種類の青色半導体レーザの特性評価

日亜化学工業株式会社 横浜技術研究所 松下俊雄、大森雅樹、近藤秀樹、大村新吾

青色半導体レーザを用いたピコ秒動作の光波形観測、ノイズ測定とノイズ低減、外部共振レーザの特性評価の3つのテーマについて実習を行う。

ナノ秒オーダーのパルス電流を流せる電源でLD(レーザー・ダイオード: レーザー光を発振できる半導体)をパルス励起してやると,レーザー発振の立ち上がり付近でオーバーシュートおよびそれに引き続くリンギングが生じるのだが,そのリンギングの山1つ分だけで発振が力尽きて終わる程度の長さにパルス電流の幅を調整してやると,結果として幅100 ps未満のパルスレーザーができる.
上記リンギングの周波数(数 GHz)がそのLDの固有周波数であり,光通信で情報を載せるために強度変調を行う際の応答速度の上限となる.
パルス幅〜psのパルス・レーザーは戻り光によるノイズが存在しない(ように調整できる).すなわち,戻り光が往復の光路長〜10 cmを進むのにかかる時間(ns未満)が経つと,パルスはオフになっている(ように調整できる).アイソレータ要らず.
同様にcw発振のLDの励起電流に数百MHzのAM変調をかけると,シングルモードだがマルチモード的になり,やはり戻り光がノイズ源にならない.「変調された電流から生じるキャリア密度は増え始めているが,キャリアの再結合から生じるレーザー光強度は底を打ったばかり」のタイミングで戻り光が入るように調整すると,戻り光によるキャリア密度の乱れや戻り光による誘導放出等の悪影響が最も抑えられるらしい.DVD読み出しの青色LDはその方法で戻り光ノイズを防ぎつつ使われてるらしい.λ/4を往復の2回通ることで帰りの光はPBSで横に折れるという光学の基礎テクが使われているのだが,ディスク材料の複屈折性(安物で顕著だとか)によりどうしてもやや楕円偏光になって,PBSで折れずにLDに戻る成分が残るため.
どうもいいが実習後に机を囲んで開かれた「語る会」の時間が居心地悪かった... 「今日の実習はどうでしたか?」という話が次第に「日亜化学は就職先にどうですか?」という話にシフトしていくの.まぁこの科目にリクルーティングの要素が含まれてるというのは最初から聞いていたが... うっかり「M2の人,手を挙げて」に従ったら,それ以外の人より余分に「日亜化学に対して思うこと・言いたいこと」を発表させられてしまったし.メーカー就職じゃありませんから,私! その前に散々「ウチには研究費の上限というものがないし,個人のアイディアの追及が奨励されてる社風だから,一人でプロジェクトを進めてる社員も多いよ!」とかの話が続いたので,どうしたって中村修二氏とのゴタゴタを思い出さずにはいられなかったんだが,さすがにその話題を出す勇気はなく(←ヘタレ),一般論として「色んなメーカーさんの製品を使っててよく思うんですけど,メーカーさんは競争力に大して影響しない技術資料はなるべく内部に秘蔵せずネットとかで公開してくれると,大口顧客でない一ユーザとしては色々労力が省けてうれしいです」等とまとまらないまましゃべくった.指された3人のM2のうちで一番応対の盛り上がらない奴になってしまった(ぉ

*1:同期H君の都合が悪くなったので私の本来の割り当て日程である木曜と交換することに.