学習障害 (LD: Learning Disabilities)

NHKクローズアップ現代で取り上げていた.ちょっとしたきっかけで学校のカリキュラムに付いて行けなくなる話って色々あるよな.目が悪いせいで黒板が読めなくて,でも「字が読めないんです」と報告するほどの知恵もなくて(自分が近眼であると認識してない),というパターンもある.んで眼鏡を買ってもらうと一気に周りに追い付いた,とか.
でもいわゆる "LD" はもっと知能というものの本質的な仕組みの欠陥に基づくものを指すようだ.人間の脳は精妙な機械だから,ちょっとした欠陥で他人には「何でこんなことが」ということができなくなる.脳の高次機能の障害*1については ラマチャンドラン,脳のなかの幽霊角川書店 や サックス,火星の人類学者早川書房 辺りが導入としてオススメだ.人間は各々,様々な箇所において違うというのは明白な事実だが,事実の持つ力を文章にして他人に届けることができるのは彼らのような優れた著者だけだ*2
ところで私は人の顔を10数通りしか覚えられないのよね... 無関心もあるんだけどそれだけではない.1年以上付き合いのある友人でも構内で見かけたときは「(あれ,あれは○○君のような気がするが... えーと服装も彼の性格と矛盾しないし,確か彼は△△の授業を取ってたから終了後にここに現れるのも無理ない話だし... うむ間違いないな)ああ○○君こんちは.」というプロセスを踏まずにはおれない.見覚えのある服だとかなりありがたいんだが,衣更えの後は役に立たなくなる.てか人違いして見知らぬ他人をじろじろ見てることもあるし(しばらく観察してから違うと気付く).誰かしらすぽっと抜け落ちた分野ってのはあると思う.因みに人の顔以外の物の図形的な把握はかなり得意で,就学前頃は空中に指で図形を描いて母に「見せて」いた.なぜ母はせっかく描いた「赤いロケット」にイマイチ喜んでくれないのだろうとか微妙に思った気がする*3.今でも透明なガラス板に溝を引いたときのような線で空中に絵(図?)が描ける.まぁ見えてるものを他人にも分かるように描く能力まではないんだが*4...
そういやクローズアップ現代では例によってトム・クルーズが引合いに出されていたが,彼はLDに悩むあまり新興宗教サイエントロジーに取り込まれてしまった.私は彼のファンなんだが*5,何で彼のような人がそんな苦労をしょいこまないといけないのか,人の運命とやらに釈然としないものを感じる.まぁ外野があれこれ言うもんでもないか.

*1:色々使ってはいけない字とか単語があるんだっけ? よく知らないよ.

*2:...と褒め過ぎると10年後くらいに新理論により完全に否定されて恥をかかないとも限らない(笑).健全な懐疑を忘れずに.

*3:それでも適当に話を合わせてくれていた母に感謝.

*4:デッサンとか練習不足だし.絵の得意な人というのは,対象を捉える能力と描く能力,両方あるんだよな.印象派が光だ光だと解説されるけど,湖面の輝き,木漏れ日の美しさを見抜く能力だけでなく,明るい本物の景色を見たときと同じ効果を一般の人にもたらす絵(必ずしも現実に対応してはいない)を描く能力がMonetやらにはあったということだ.もちろん印象派に限らない.

*5:インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」良かったなぁ... ゲイっぽい不思議な映画だった.反戦映画「7月4日に生まれて」は「オリバー・ストーンの映画」だがクルーズあってもの.あの重さに耐えられる役者は少ない.「バニラ・スカイ」は見せ方はともかくストーリーの詰めがイマイチ.夢オチかよと小一時間問い詰めたい.「マイノリティ・リポート」は,うーん誰がどこに貢献していたと述べ辛い映画だ.ともかく濃ゆかった.まぁ私が言いたいのは「ミッション:インポッシブル」だけでクルーズ様を判断しないでくれと言うことだ.